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リサーチケミカルを日本に輸入する際に注意すべきこと

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Table of Contents
日本においてリサーチケミカルとは
世界で広く流通しているリサーチケミカルの例
現在の法律ではリサーチケミカルのうち何が合法なのか
かつては人気があったが、現在は違法となっているリサーチケミカル
代表的な違法薬物
日本の現行法の概要、規制されている薬物とその罰則
リサーチケミカルの輸入に際する留意事項
合法な化合物を確認する方法 - 未規制のリサーチケミカルの輸入とその選定プロセス
違法なものを輸入しないことの重要性と考えられる罰則について
もしも麻薬取締部から連絡が届いた場合の対応
免責事項

日本においてリサーチケミカルとは

日本におけるリサーチケミカル(研究用化学物質、研究用試薬)とは、規制当局である厚生労働省が規制していない化合物で、研究用途に使うものを指します。多くの場合は日本国内法で規制されていない物質を輸入することで、その物質を用いた個人研究を行うことをインターネットの普及した2000年前後から始めた方が多いと思われます。もちろんリサーチケミカルはNot for Human Consumption(人体摂取禁止)として販売されています。人体摂取を目的としての販売は行われていないため、人体に取り込んだ場合にどのような事故が起こってもベンダーは責任を取ることができません。

 

世界で広く流通しているリサーチケミカルの例

世界で広く流通しているリサーチケミカル(研究用化学物質、NPS, New Psychoactive Substances;「新規精神活性物質」とも呼ばれる)の例を挙げてみましょう。

 

リゼルガミド – リゼルグ酸アミドで、ドーパミンD2受容体やセロトニン5HT-A受容体と結合し、サイケデリックな効果をもたらすもの: LSD-25、1B-LSD、1P-LSD、LSZ、1cP-LSD、1cP-AL-LAD、1cP-MiPLAなど。

アリシクロヘキシルアミン(解離性麻酔剤) – NMDA受容体拮抗薬で、麻酔作用と解離作用をもたらすもの: PCP、ケタミン、2-FDCK、DMXE、HXE、MXPr、MXiPRなど。

トリプタミン系 – その多くが5-HT(セロトニン)受容体と反応し、強力なサイケデリックと共感覚をもたらすもの:DMT、シロシビン、5-MeO-DMT、4-HO-MET、5-MeO-MiPT、AMT、ブフォテニン (5-HO-DMT)など。

フェネチルアミン系 – 覚醒剤、幻覚剤、共感剤、サイケデリックなどの精神作用を持つもの: MDMA、MDA、メスカリン、DOM、2C-B、2C-B-FLY、5-MAPB、3-FEAなど。

アンフェタミン系 – フェネチルアミン系の精神刺激剤: メタンフェタミン、アンフェタミン(アデロール)など。類似した化合物にピペリジン系のメチルフェニデート(リタリン、コンサータ)、エチルフェニデート、ペモリン(ベタナミン)など。

カチノン系 – カートという植物の成分であるカチノンから人工的に合成される精神刺激薬: メチロン、エチロン、メフェドロン、メトカチノン、ヘキセドロンなど。

カンナビノイド系 – 大麻に含まれるTHC(マリファナに含まれる精神活性物質)を模倣して合成された化合物で、精神活性作用を持つもの: JWHシリーズ、AMシリーズ、HUシリーズ、ADB-PINACAなど。

ベンゾジアゼピン系 – GABA神経系に作用して脱抑制を起こさせ、陶酔感が得られるもの、もともとは抗不安薬や睡眠薬として開発され鎮静作用、催眠作用、抗不安作用、筋弛緩作用があるもの: アルプラゾラム(ソラナックス)、フルニトラゼパム(サイレース)、トリアゾラム(ハルシオン)、エチゾラム(デパス)。非医療用リサーチケミカルとして、クロナゾラム、フルニトラゾラム、フルアルプラゾラムなど。

合成オピオイド – 天然のオピオイドの作用を模倣して合成された化合物で、オピオイド受容体に作用してドーパミンを放出させ、陶酔感を得るもの:モルヒネ、ヘロイン、 フェンタニル、オクフェンタニル、カルフェンタニルなど。

向知性薬認知機能、特に実行機能、記憶、創造性、または意欲を向上させると謳われている新規物質: ピラセタム、フェニルピラセタム、アニラセタム、オキシラセタム、プラミラセタム、ビンポセチン、アドラフィニルなど。

 

現在の法律ではリサーチケミカルのうち何が合法なのか

Japan court

では、2021年4月13日現在のリサーチケミカルで法律で違法と指定されていない物質には何があるかというと、次のとおりです。【免責事項】このリストは正しいものではない可能性があり、新しい法律の施行に伴い変更される可能性があります。 常に自分で法律を確認してください。私達は合法な化合物を確認する方法の一部も後述しています。


リゼルガミド:幻覚剤(リゼルギン酸誘導体)では、

  • LSZ (Lysergic acid 2,4-dimethylazetidide)
  • MiPLA (N-Methyl-N-isopropyllysergamide)
  • 1cP-MiPLA (1-cyclopropionyl-lysergic acid N, N- methyl isopropyl amide hemi-L-tartrate)
  • 1cP-AL-LAD (1-cyclopropanecarbonyl-6-allyl-6-nor-lysergic acid esteramide)

などが挙げられます


アリルシクロヘキシルアミン(解離性麻酔薬) – NMDA受容体拮抗薬で、麻酔作用や解離作用をもたらすものでは、

  • MXPr(3-MeO-2′-oxo-PCPr / methoxpropamine)
  • MXiPr(3-MeO-2′-oxo-PCiPr / methoxipropamine)
  • HXE(3-HO-2′-oxo-PCE / hydroxetamine

などが挙げられます。


睡眠薬・抗不安剤・抑制剤(ベンゾジアゼピン系)では、

  • Flunitrazolam
  • Bromazolam
  • Pyrazolam
  • Clonazolam

などがあります。


カチノン系に属する精神刺激薬としては、厳密に言えばリサーチケミカルではありませんが、アメリカFDAに承認された禁煙補助薬(または抗鬱剤)である医薬品ブプロピオンが個人輸入可能となっています。

これらの物質でも、次の厚生労働省・薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会で審議され、税関での押収状況から流通が確認され、「指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物」とされた場合、告示から1週間から2週間程度の経過措置を取ったあと、法律が施行されます。この後に「指定薬物を製造し、輸入し、販売し、若しくは授与した者又は指定薬物を所持した者」は罰せられることとなります。

カチノン系覚醒剤(精神刺激薬)、共感剤(エンタクトゲン、エンパソジェン)については、基本骨格が同じ物質を一括して指定する「包括指定」が活用されており、これにより未規制物質を幅広く規制しています。平成25年(2013年)から包括指定が施行され、この段階で772の化合物が規制され、平成27年(2015年)5月1日には、カチノン系化合物840物質が包括指定されています。フェニル基をベンゾフラン誘導体に置換した物質は規制対象から外れていますが、これらの流通については既に報告されています(http://www.tokyo-eiken.go.jp/files/archive/issue/kenkyunenpo/nenpo65/l-suzuki.pdf)。

 

かつては人気があったが、現在は違法となっているリサーチケミカル


最近まで人気があったリサーチケミカルで違法となった化合物に、1cP-LSDがあります。これはリゼルガミドでLSD-25のプロドラッグとして作用し、幻覚剤としてインターネット上で人気が高かった物質です。

 

合成トリプタミン系化合物(DMT、5-MeO-DIPT、5-MeO-MiPT、5-MeO-DMT、AMT等)、合成フェネチルアミン・カチノン系化合物(メチロン、メフェドロン、α-PHP、α-PVP等)、合成カンナビノイド化合物(JWH、CP、AMシリーズ等)、合成フェンタニル系化合物(アセチルフェンタニル、4-フルオロブチリルフェンタニル、オクフェンタニル、カルフェンタニル等)については迅速に規制されてきており、実際に合法に輸入できるリサーチケミカルはほぼ残っていないと言っていいでしょう。あるいは、法の規制を掻い潜るため化学的に修飾が過剰になされたあまり、精神神経毒性が高い物質が多くなります。

 

代表的なリサーチケミカルとして挙げられるこの4種類の化合物類のうち、セロトニンに主に働きかけるトリプタミン系化合物が2000年前後に研究用試薬としてインターネット上で販売されていました。フォクシーとして知られる5-MeO-DIPT、AMT(共に2015年に麻薬指定)、5-MeO-DMT(2017年に麻薬指定)などはこれらは幻覚剤と精神刺激薬、共感剤を混ぜたような薬効があり、人気を博し、愛好家に細々と流通していました。これらの物質は、アレキサンダー・シュルギン博士がデザイナーズドラッグとして合成した化合物で、トリプタミン系化合物については著書『TiHKAL』にその化合物の概要と合成方法、摂取方法や心理的作用についてまとめられていることから著名な物質とされています。

 

また、国内外で「バスソルト」として販売されていた、ドーパミンに主に働きかけるフェネチルアミン系(アレキサンダー・シュルギン著『PiHKAL』に主な化合物がリストされています)・カチノン系化合物が精神刺激薬や共感剤(エンパソジェン、エンタクトゲン)として広まりました。フェネチルアミン系ではMDMAの類似体であるMBDB(Benzodioxolyl-N-methylbutanamine、2006年に麻薬指定)、2C-I(2,5-Dimethoxy-4-iodo-phenethylamine、2C-T-2、2C-T-4と共に2008年に麻薬指定)が評判を得ました。MDPV(Methylenedioxypyrovalerone)は、当時救急搬送された患者の血液や尿から発見されていた最も一般的な精神刺激性合成カチノンで、2012年に麻薬として規制されています。その他には、methcatinone(α-methylamino-propiophenone)、Pentedrone (α-methylamino-valerophenone、2017年に麻薬指定)、α-PVP(2013年より指定薬物から麻薬指定)、MDMAと似た共感剤としての作用のある物質としてメチロン(βK-MDMA、MDMC、3,4-methylenedioxy-N-methylcathinone、2007年に麻薬指定)、メフェドロン(4-MMC、2012年に麻薬指定)が人気を呼びましたが、国内での流通が確認されてから早々に規制されています。

 

また、2010年頃まで日本国内で合法ハーブとして店頭やインターネットで売られていた「Spice」等の名称の植物片に含まれていたCP-47,497、JWH-018が合成カンナビノイドの嚆矢と言えます。有機化学者であるJohn William Huffmanが開発に携わったこれら合成カンナビノイドであるJWHシリーズはCB1受容体の強力なアゴニストであり、合法大麻として「誤用」され、2014年6月24日に池袋駅西口で合成カンナビノイドを使用した状態で車を運転し、1人が死亡、6人が重軽傷を負う凄惨な事件が発生しました。これを皮切りに、脱法ドラッグではなく危険ドラッグという呼称を行政機関が使うようになりました。そして2013年、合成カンナビノイドはナフトイルインドールを基本骨格とした物質群として包括規制され、その規制から逃れた物質がその代用として出回り、さらに神経毒性を増していくという悪循環に陥りました。

 

合成フェンタニル化合物については、モルヒネの約10000倍の効力がある物質(カルフェンタニル等)が散見されることから、オピオイドの流行する国家は廃れるとの歴史から学び、国民の健康被害防止を念頭に、厚生労働省が早急に指定薬物・麻薬として指定されてきています。例として、β-ヒドロキシフェンタニル、オーメフェンタニル、クロトニルフェンタニル等は指定薬物ではなく麻薬として指定されています。

 

その他に、GHB(γヒロドキシ酪酸、Gamma-Hydroxybutyric Acid)が流行しました。これはリキッド・エクスタシーとして知られ、無色透明の液体、粉末として売られ、依存性が少なく(異論はありますが)、使用した後に身体へのダメージが少ないながら、簡単に多幸感・陶酔感が得られる物質として人気を博しましたが、睡眠作用・性欲増強作用を持つために、性犯罪への悪用が懸念され、2001年11月25日に麻薬として指定されました。

 

国外で流通が頻繁に確認されたリサーチケミカルは、その作用と神経毒性を鑑みて、国内での流通がなくても国外の流行状況を先回りして指定薬物あるいは麻薬として指定していることが指定薬物部会の審議録から確認できます。

 

 

代表的な違法薬物


アンフェタミン系として代表的な物質には覚醒剤としてメタンフェタミン(日本ではヒロポンとして医療用処方薬として日本薬局方に収載されています)、アンフェタミン(日本国内での医薬品としての認可はありません)、共感剤としてMDMA(3,4-methylenedioxymethamphetamine、アメリカのFDAはPTSDに対するフェーズ3治験段階として認可しています)、MDA(3,4-Methylenedioxyamphetamine)、カチノン系として代表的な物質にはMethylone(2-Methylamino-1-(3,4-methylenedioxyphenyl)propan-1-one、bk-MDMA)、MDPV(1-(3,4-Methylenedioxyphenyl)-2-(pyrrolidin-1-yl)pentan-1-one)、α-PVP(1-Phenyl-2-(pyrrolidin-1-yl)pentan-1-one)、トリプタミン系として代表的な物質にはDMT(N,N-dimethyltryptamine)、5-Meo-DMT(5-methoxy-N,N-dimethyltryptamine)、AMT(α-Methyltryptamine)等があります。カンナビノイド系として代表的な物質にはJWH-018、JWH-073、AM-2201、FUBIMINA等があります。ベンゾジアゼピン系として代表的な物質には日本では精神科での治療に使われるもののうち向精神薬として定められているエチゾラムやフルニトラゼパム(ロヒプノール、アメリカではデイ・レイプ・ドラッグとして麻薬扱い)は向精神薬指定を受けているため輸入ができません。日本では医療用として認められていない非医療用ベンゾジアゼピンにはフルアルプラゾラム、ピラゾラム、非常に力価の高いと言われており過剰摂取による死亡例も報告されているクロナゾラム等があります。2017年に一斉に規制が発表された、向知性剤(認知力改善薬)としてピラセタム、アニラセタム、ビンポセチン、アドラフィニル等も輸入できないことを忘れてはなりません。その他、解離性麻酔薬(PCP受容体作動薬)としてPCP(
Phencyclidine)、ケタミン、MXE(Methoxetamine)等が挙げられ、合成オピオイドとして知られるフェンタニル系として極めて毒性、致死性の高いカルフェンタニル、オクフェンタニル等があります。これらは既に国内法にて規制されている、あるいは規制が検討されている化合物です。

 

これらを輸入しようとする個人研究者はほぼ皆無でしょうが、化合物の略称に不慣れな者はその化合物が規制薬物に相当するかわからずに海外のベンダーに発注してしまう可能性もあります。輸入が当局に発見された場合、厳罰に処されることとなりますので注意が必要です。

 

日本の現行法の概要、規制されている薬物とその罰則


では、日本で規制されている薬物とは何があるのでしょうか。まずは法律を確認する必要があります。指定薬物、麻薬、麻薬原料、向精神薬、向精神薬原料、覚せい剤、覚せい剤原料が規制されている主な物質になります。日本独自の規制手法として規定されている指定薬物とは、麻薬に準ずる取り扱いで、薬機法にて、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として指定されている物質を指します。製造、輸入、販売、授与、所持、購入、譲受、使用が原則禁止されており、2021年3月15日現在、2392物質が指定されています。

 

指定薬物の規制情報については、厚生労働省指定薬物名称・構造式一覧(https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000658107.pdf、English version:https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000563116.pdf)を確認することがまず一番重要です。Excelファイルでも提供されています(日本語English)。この一覧のなかでは物質が省令番号順に並べられており(指定年月日順ではない)、通称等、構造式等、医療等の用途区分、指定年月日が記載されています。また合成カンナビノイド及びカチノン系化合物の包括規制については末尾に触れられており、対象物質群の基本骨格、基本骨格の構造式、指定対象から除外される物質、医療等の用途区分、指定年月日が記載されています。輸入しようとしている薬物がこの一覧にないかどうか、事前に確認するべきです。

 

主な指定薬物については、大阪大学環境安全研究管理センターのサイトも指定薬物一覧として厚生労働省から省令が発出された段階で更新しています。発出されてから更新されるタイミングがこちらは遅れてしまうため、ご注意下さい。この一覧のURLは次の通りです(http://www.epc.osaka-u.ac.jp/pdf/yakuji-siteiyakubutu.pdf)。このサイトでは、個別に指定された薬物の名称、略称、構造式、分子式、CAS番号、指定年月日を一覧にして公開しています。また「麻薬・麻薬原料・向精神薬・向精神薬原料・覚せい剤・覚せい剤原料リスト」も同じく大阪大学が一覧を作成しており、省令が発出された段階で更新しています(http://www.epc.osaka-u.ac.jp/pdf/drug%20etc.pdf)。

 

ただし、この一覧にない薬物でも、既に厚生労働省がパブリックコメントを募集している薬物、今後施行される薬物規制について報道発表資料として既に発表されている場合がありますので、その確認も怠らないようにする必要があります。この一覧については次のURLから確認することができます(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/index.html)。

 

例えば最近では、2021年1月21日に開催された薬事・食品衛生審議会薬事分科会指定薬物部会(開催案内、議事録:https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-yakuji_127874.html)で指定薬物とすることが適当とされた4物質が2021年1月22日に記事として公開されています(危険ドラッグの成分4物質を新たに指定薬物に指定:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212475_00019.html)。この度規制されることが適当とされた物質には、カンナビノイドである 5F-EDMB-PINACA、MMB-FUBICA、MMB022 (AMB-4en-PICA、MMB-4en-PICA)、リゼルガミドである1cP-LSDの4物質があります。

 

4物質のうち、1cP-LSDは日本国内のTwitter上で、またウェブサイトを通じて流通が確認され、厚生労働省の麻薬取締部が買い上げ調査を行い、薬機法にて、中枢神経系の興奮若しくは抑制又は幻覚の作用(当該作用の維持又は強化の作用を含む。)を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれがある物として相当とされ、指定薬物として指定されたこととなります。

 

また2021年3月12日に開催された指定薬物部会では、カンナビノイドであるADB-BUTINACA、精神刺激剤である4-Fluoroethylphenidate、トリプタミンである4-AcO-EPT、解離性麻酔薬である3F-PCP(3-Fluoro-PCP)が新たに指定薬物として相当だと判断され、省令により同年3月25日付で指定薬物として規制されることになりました(危険ドラッグの成分4物質を新たに指定薬物に指定:https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000212475_00020.html)。

 

これらは国民の健康被害を防止する観点から緊急に指定する必要があるとされ、パブリックコメントの募集が省略され、省令として指定薬物としての取り扱いが施行され、規制が発効されたことになります。これらの物質は、製造、輸入、販売、授与、所持、購入又は販売若しくは授与の目的での貯蔵、若しくは陳列が禁止されており、これらについては、同法に基づき3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科(業として行った場合は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科)すると規定されています。

 

指定薬物部会は2018年に5回、2019年にも5回開催され、単純計算で2ヶ月に一度指定薬物に対して官僚、識者間での議論がなされ、俎上に上がった物質はすべて規制されるという結論に至っています。慣例に従うと、次の指定薬物部会は2021年5月頃に開催され、5月中早々に指定薬物あるいは麻薬指定物質が増えるということになるでしょう。

指定薬物部会からは、WHOにより国際条約に基づく統制対象とするべき旨勧告が出ている物質を優先的に指定する様子が伺えます。4F-MBDB-BINACAは2021年3月の国連麻薬委員会において、条約に基づく統制対象とするか審議が予定されている物質だったこと、加えてWHOの勧告では、1961年麻薬単一条約のスケジュール1で規制することとされている物質だったことが大きい要因です。また傾向として、スウェーデンの薬物規制が薬物部会で根拠とされることが多く、スウェーデンの取締傾向を把握することは有用かもしれません。

リサーチケミカルの輸入に際する留意事項


日本においてリサーチケミカルを輸入する際には、海外のベンダーに発注し、輸出元から出荷国の税関、輸入先(日本)の税関の検査を通して荷受先の住所に届くことになります。ここで問題となるのが通関に際しての注意事項となります。

 

税関では水際対策を強化しており、日本で

 

  • 覚醒剤取締法(昭和26年法律第252号)
  • 大麻取締法(昭和23年法律第124号)
  • あへん法(昭和29年法律第71号)
  • 毒物及び劇物取締法(昭和25年法律第303号)において指定される物質
  • 薬機法(医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和35年法律第145号))にて規制されている指定薬物
  • 麻薬及び向精神薬取締法(昭和28年3月17日法律第14号)に指定されている麻薬
  • 向精神薬に該当する薬物

 

については厳しく輸入が規制されており、それに該当する薬物については輸入ができません。

 

税関の関税中央分析所ではテラヘルツ派を用いた非開披検査を実施しており、代表的な違法薬物、爆薬に対するテラヘルツ派吸収スペクトルのデータベースと照らし合わせ、従来は困難であった封書内の物質の非破壊検査を可能にしています。海外から送られてくる封書の数は一日に数10万通もあり、すべての封書・小包をテラヘルツ分光処理するのは難しいため、薬物等の隠匿可能性をチェックして疑わしい封書をスクリーニングし、該当する封書を分光分析にかけて成分を同定することとしています。2017年の段階で、不正薬物117種類、一般物質76種類のテラヘルツ派スペクトルデータを整備し、現在は税関で押収あるいは輸入者が任意放棄した物質や指定薬物部会で指定された物質のスペクトルデータを保有していると考えられます。

 

税関ではランダムサンプリングを行って開披検査も実施しています。実際にインボイス(送り状、発送人(輸出者)が誰で、その荷物が誰から誰に送られるものなのか、内容物や価格、数量はどれくらいかが記された書類)に記された物品以外の化合物が内容物として含まれていた場合、通関せず、最悪の場合、関税法(昭和29年法律第61号)第69条の11違反となり、10年以下の懲役若しくは3000万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する(同法109条第1項)と規定されています。薬機法や麻薬及び向精神薬取締法で規定された刑罰よりも重い罪となりますので、注意が必要です。

 

合法な化合物を確認する方法 - 未規制のリサーチケミカルの輸入とその選定プロセス


まず正当な合法性の確認には、法令を確認する必要があります。麻薬5法として知られる、

 

  1. 麻薬及び向精神薬取締法麻薬及び向精神薬取締法施行令麻薬及び向精神薬取締法施行規則麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令
  2. 覚醒剤取締法覚醒剤取締法施行令覚せい剤取締法施行規則覚醒剤原料を指定する政令
  3. 大麻取締法大麻取締法施行規則
  4. あへん法あへん法施行令あへん法施行規則あへんの売渡価格を定める政令
  5. 国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律

 

を十分に読み込んで下さい。さらに、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(通称薬機法)、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律第2条第15項に規定する指定薬物及び同法第76条の4に規定する医療等の用途を定める省令を確実に網羅する必要があります。

 

・合法な化合物を確認する手順

 

1. 厚生労働省指定薬物名称・構造式一覧を確認し、物質名を検索してお目当ての物質がリストの中にないことがまず一番重要です。

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000658107.pdf

English version:https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000563116.pdf

2. 厚生労働省の麻薬及び向精神薬取締法(第2条関係 74物質)リストを確認します。

https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/mayaku_torishimari_280915-01.pdf

3. 麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(第1条関係 142物質)リストを確認します。

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000647611.pdf

4. 麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(第3条関係 75物質)リストを確認します。

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000647613.pdf

5. 厚生労働省による最新の報道発表資料薬物関連の通知集これまでのお知らせを確認します。

6. Googleで物質名と「指定薬物」「麻薬」「規制」といった言葉を使って検索します。そこでヒットする場合は除外する必要があります。

7. 大阪大学環境安全研究管理センターが随時更新している規制薬物リストを補助的に参照します。

8. これにより、すべての規制薬物を選択することを避けることができます。

 

【厚生労働省による報道発表資料】

  • 指定薬物名称・構造式一覧

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000658107.pdf

English version:https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000563116.pdf

Excelファイルはこちら

  • 麻薬及び向精神薬取締法(第2条関係 74物質)リスト

https://www.mhlw.go.jp/bunya/iyakuhin/yakubuturanyou/dl/mayaku_torishimari_280915-01.pdf(Excelファイルはこちら

  • 麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(第1条関係 142物質)リスト(Excelファイルはこちら

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000647611.pdf

  • 麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(第3条関係 75物質)リスト(Excelファイルはこちら

https://www.mhlw.go.jp/content/11120000/000647613.pdf

  • 報道発表資料

https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/index.html

  • 薬物関連の通知集

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/kanren-tuchi/index.html

  • これまでのお知らせ

https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iyakuhin/yakubuturanyou/oshirase/index.html

 

【大阪大学環境安全研究管理センターによる規制薬物リスト】

  • 覚せい剤・覚せい剤原料リスト

http://www.epc.osaka-u.ac.jp/pdf/drug%20etc.pdf

  • 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(旧称:薬事法)指定薬物

http://www.epc.osaka-u.ac.jp/pdf/yakuji-siteiyakubutu.pdf

 

例えば、4-HO-METとして知られるマジックマッシュルームに含まれるシロシン類似の物質がありますが、これは日本の法律では4-OH-METとしてリストされています。このように化合物の通称が複数ある場合、CAS番号を上記の大阪大学の指定薬物リストで検索すると、この場合、「CAS:77872-41-4」に示される4-OH-METが4-HO-METと一致することがわかります。このように、CAS番号を使って規制薬物かどうかをチェックする方法もあります。

 

ただし、カチノン系物質及びカンナビノイド系物質の包括規制では、個別に物質名や構造式を示していないことがあるため、注意する必要があります。

 

あなたが確実に合法性が確認できた物質を輸入する際に、郵便物としての信書がどのように取り扱われるか知る必要もあります。まず、郵便物に紛れ込んだ物質を検査する権限が税関にあることを忘れないで下さい。信書に対しては憲法第21条第2項にて保障された通信の機密事項であり、郵便法第8条で郵便物の検閲を禁止し、第8条第1項・第2項に秘密の保護が規定されています。しかし、関税法第76条においては、「税関長は、輸出され、又は輸入される郵便物中にある信書以外の物について、政令で定めるところにより、税関職員に必要な検査をさせるものとする」とあり、信書以外の物品が紛れ込んでいる場合、それを検査する権限があります。この規定を活用した内容物の開披・確認が行われる可能性を常に念頭に置いて下さい。

 

また、ベンダーに注文した物質が確実に手元に届くとは限らず、国内では当時未規制であった1cP-LSDを輸入しようとした際、ベンダーがおまけとして指定薬物である1B-LSDを同梱して発送し、それが税関で発見され、発注した量が多かったこともあいまって薬機法の指定薬物の輸入及び販売目的貯蔵として検挙された事例があるようです。信頼できるベンダーと充分なコミュニケーションを取った上で、誤りなく出荷してもらえるように依頼する必要もあるでしょう。

 

違法なものを輸入しないことの重要性と考えられる罰則について


現在違法ではない薬物でも、いつ厚生労働省が麻薬あるいは指定薬物として規制するかはわかりません。指定薬物部会の動向はもちろん確認するべきですし、輸入しようとしている物質が現在合法でも規制が施行された日以降に税関に到着し、検査命令が下された場合には非合法な物質の輸入として扱われてしまいます。

 

罪刑法定主義に基づき、法律、施行令、施行規則、告示、地方自治体の定める条例にて個別または包括指定として指定された薬物については規制され、刑罰が課されますが、規制されていない薬物については、法律上は輸入することが可能です。ただし、薬機法第76条の6(指定薬物等である疑いがある物品の検査及び製造等の制限)にある、指定薬物又は指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物である疑いがある物品については「厚生労働大臣若しくは都道府県知事又は厚生労働大臣若しくは都道府県知事の指定する者の検査を受けるべきことを命ずることができる」とされており、これに相当する物品が発見された場合には税関経由で厚生労働大臣又は都道府県知事より検査命令が出され、輸入者にその旨通知されます。事実上、覚せい剤、大麻、あへん、麻薬、向精神薬、指定薬物と同等の精神毒性があると認定されるであろう物質については、税関で発見された場合、検査命令を通して輸入者に連絡が行われ、任意放棄、あるいは滅却せざるを得なくなり、手元に届くことはありません。

 

指定薬物に対する規制は2014年4月1日より、所持、使用、購入、譲り受けが新たに禁止されています。指定薬物及びこれを含有する物は、薬機法において、

 

  • 疾病の診断、治療又は予防の用途及び人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途以外の用途に供するための製造、輸入、販売、授与、所持、購入又は販売若しくは授与の目的での貯蔵、若しくは陳列が禁止されており、
  • これらについては、同法に基づき3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科(業として行った場合は、5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科)すると規定されています。

 

また、麻薬及び向精神薬取締法第2条及び麻薬、麻薬原料植物、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令(平成2年政令第238号)に定められた麻薬(2020年8月7日現在142種類、https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=402CO0000000238)を輸入した場合、次のような罰則があります。

 

  • ヘロインの場合は1年以上の有期懲役(第64条)
  • ヘロイン以外の場合は1年以上10年以下の懲役(第65条)
  • 向精神薬の場合は5年以下の懲役(第66条の3)

 

輸入ではなく譲渡・譲受、所持の場合は刑罰の重さが異なります。

 

  • ヘロインでは10年以下の懲役(第64条の2)
  • ヘロイン以外では7年以下の懲役(第66条)

 

向精神薬は麻薬及びこうせ取締法別表第3(第2条関係)に10種類(2019年12月14日内容現在)、向精神薬及び麻薬向精神薬原料を指定する政令に75種類(2020年8月7日内容現在)指定されています。

 

  • 向精神薬を、みだりに、本邦若しくは外国に輸入し、本邦若しくは外国から輸出し、製造し、製剤し、又は小分けした者は5年以下の懲役(第66条の3第1項)
  • 輸入した向精神薬を営利目的で業として取り扱った場合は7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金(第66条の3第2項)
  • それが未遂であっても裁判では刑罰が加重されて取り扱われるので注意が必要です。

 

薬機法には無承認無許可医薬品という規定もあります。これは医薬品ではないのに、医薬品のような効能・効果をうたって販売されている製品や、いわゆる健康食品に医薬品成分が含まれているものをいいます。薬機法第2条1項に規定されている医薬品に該当するか否かは、医薬品としても目的を有しているか、又は通常人が医薬品としての目的を有するものであると認識するかどうかにより判断されます。効能効果、形状及び用法用量の如何に関わらず、成分本質(原材料)が配合又は含有されている場合であって、次の1-3に示すいずれかに該当するものにあっては、原則として医薬品とみなすものとする(1. 医薬品的な効能効果を標ぼうするもの 2. アンプル形状など専ら医薬品的形状であるもの 3. 用法用量が医薬品的であるもの)とされています。専ら医薬品として使用される成分本質(原材料)のリストが示されており(https://www.mhlw.go.jp/kinkyu/diet/dl/torishimari.pdf)、その中には麻薬、向精神薬及び覚せい剤様作用がある物(当該成分及びその構造類似物(当該成分と同様の作用が合理的に予測される物に限る)並びにこれらの原料植物)と記載があり、これらを販売した場合には、無許可の医薬品の製造販売(薬機法第84条9号)に抵触し、3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し、又はこれを併科するとされています。

 

あなたの研究が個人研究であっても、大量の物質の輸入は営利販売目的とみなされることがあり、この場合は業として扱われることとなり、次の刑罰が課されます。

 

  • 指定薬物の場合、「5年以下の懲役若しくは500万円以下の罰金、又はこれを併科」(薬機法第83条の9)され、
  • 向精神薬の場合、「7年以下の懲役に処し、又は情状により7年以下の懲役及び200万円以下の罰金に処」される(麻薬及び向精神薬取締法第66条の3)

 

あなたの行っている輸入が確かに合法な物質である場合は、罪刑法定主義によって処罰されることはありません。ただし、薬機法第76条の6(指定薬物等である疑いがある物品の検査及び製造等の制限)第1項に規定される「指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物である疑いがある物品」については、疑いがあるだけで検査命令が執行される可能性があります。検査の結果、ごく少量でも違法薬物が検出された場合、それ相応の手続きが刑事訴訟法に基づいて行われることとなります。加えて同法第76条の6第2項には「同項の検査を受けるべきことを命ぜられた者に対し、同項の検査を受け、第4項前段、第6項(第1号に係る部分に限る。)又は第7項の規定による通知を受けるまでの間は、当該物品及びこれと同一の物品を製造し、輸入し、販売し、授与し、販売若しくは授与の目的で陳列し、又は広告してはならない旨を併せて命ずることができる」と規定されていますので、検査命令が即ち輸入禁止命令ではありませんが、検査命令実施の通知が届いた場合は厚生労働大臣または都道府県知事により輸入禁止命令を発出することができ、その場合は検査の結果が通知されるまで、同一の物質を輸入しようとすることは違反行為となります。多くの場合はインターネットにショップを構えている者や大量に輸入した経歴のある税関・麻薬取締部にマークされた個人が対象となりますが、ご注意下さい。

 

あるいは、税関で留め置かれる場合もあるようです。追跡番号付きの貨物の輸入によって荷物を追跡すると、税関での貨物倉庫への差し戻しが確認できたものの、それ以降荷物が動かないままということになり、その輸入しようとした物質が指定薬物として規制されてからその物質の処理について税関や麻薬取締部から葉書により連絡が来るということもあります。この場合も、法律の施行日には既に税関に到着していることから処罰されることはありませんが、輸入者としての責任を持って任意放棄あるいは滅却に同意しなければなりません。

 

日本国内法で合法とされているリサーチケミカル(精神活性物質、サイコアクティブ)を輸入することは、法律上、取り扱いの難しい行為だということを認識する必要がありますが、それでも輸入したい場合にはベンダーに発注してもいいでしょう。その代わり、税関での通関状況は常に意識しておかなければなりません。また、税関を経由して麻薬取締部から連絡が来た場合にどのように処理するか答えを準備しておく必要があります。

 

もしも麻薬取締部から連絡が届いた場合の対応


規制当局である厚生労働省地方厚生局麻薬取締部は、国民の健康被害を防ぐ目的を柱として国外から密輸される薬物の押収に努めるとともに、「麻薬特例法」を適用した薬物犯罪収益の没収や、泳がせ捜査(コントロールド・デリバリー、後述)による犯罪組織の首謀者の逮捕などを図っています。

 

実際に麻薬や向精神薬、指定薬物ではでない物質を正規に輸入した際にも、税関から麻薬取締部に情報が渡され、麻薬取締部から葉書やファクシミリが届く場合があります。この場合、薬機法第76条の6(指定薬物等である疑いがある物品の検査及び製造等の制限)を根拠に、「指定薬物又は指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物である疑いがある物品を発見した場合」、「当該物品が指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物であるかどうかについて、厚生労働大臣若しくは都道府県知事又は厚生労働大臣若しくは都道府県知事の指定する者の検査を受けるべきことを命ずることができる」とされており、検査命令が出されたこととなります。

 

麻薬取締部に電話にてこの場合の手続きを質問したところ、検査命令が下された場合、貨物に含まれていた物質が合法であっても関税中央分析所の結果を待っても手元に届くことはないため、速やかに税関の担当部門に電話にて連絡し、違法薬物の輸入を行うつもりがないこと、任意放棄、あるいは滅却に同意する旨を伝え、検査命令を中止させる必要があります。連絡をしないままでいると検査命令が命じられたまま関税中央分析所にて物質の分析を行い、その結果が違法薬物である場合、刑事訴訟法に基づく司法警察員として麻薬取締官あるいは所管の都道府県警察に情報が渡され、任意事情聴取あるいは逮捕状を取った家宅捜索が執行される恐れがあります。

 

麻薬特例法国際的な協力の下に規制薬物に係る不正行為を助長する行為等の防止を図るための麻薬及び向精神薬取締法等の特例等に関する法律、平成3年法律第94号)では、第3条(上陸の手続の特例)、第4条(税関手続の特例)及び第8条(規制薬物としての物品の輸入等)の規定により、取締機関が規制薬物等の禁制品を発見しても、その場で直ちに検挙・押収することなく、十分な監視の下にその運搬を継続させ、関連被疑者に到達させてその者らを検挙する捜査手法(コントロールド・デリバリー、泳がせ捜査)を執るための上陸及び税関手続の特例措置を定めています。これにより、規制薬物であるとの認識の下に、規制薬物でない薬物又は規制薬物であるかどうか不明な薬物その他の物品を輸入又は輸出した者に対し、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金を科し、同じく譲り渡し、譲り受け又は所持した者に対し、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金を科することとしています。同法第11条には前述のコントロールド・デリバリーのうち、送り荷中の規制薬物を取り除いて行うクリーン・コントロールド・デリバリーを実施して特定した犯人を処罰することを可能とする規定があります。

 

このように、リサーチケミカルを取り巻く法環境は厳しく規制されており、日本国内で違法とされている物質は絶対に購入・輸入しようとせず、合法な物質の購入・輸入についてもリサーチケミカルの輸入に関するリスクを充分に認識・理解した上で行うようにしてください。あなたの研究が充実したものになることを祈っています。

 

免責事項

この記事を参考にリサーチケミカルを輸入した場合に、税関、麻薬取締部、警察からの連絡が来た場合、被疑者として逮捕状が取られ、事情聴取、家宅捜索、あるいは起訴された場合の責任は取ることができません。常にリサーチケミカルの輸入を検討する際には、厚生労働省による最新の報道発表、パブリックコメント、日本国内の違法薬物に対する取締の動向を確認し、合法であるという確信を持った上で輸入することをお勧めします。合法な物質の輸入でもそれが精神活性物質であって、繰り返し輸入していて税関、麻薬取締部に常習性があると判断された場合には、輸入者はマークされるということを忘れないでください。また、違法として指定されていない薬物でも薬機法における「指定薬物又は指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物である疑いがある物品」が通関の際に貨物より発見された場合には、相応のリスクが伴うことを充分に理解した上で輸入手続きを取り、通関に関する状況を常に監視し続けることを忘れないようにして下さい。

 

私達chemical-collectiveでは、他の海外ベンダーと違い、日本において違法とされている薬物に対する注文を受けた場合、日本に出荷することを行わない方針を固めることとしました。これは日本のリサーチケミカルのユーザーをハームリダクションの観点から規制当局から任意事情聴、違法薬物の輸入に対する逮捕等から守るための最善の方法だと確信しています。ですが、日本国内の規制薬物リストは日々更新され、当社が違法薬物の情報をリアルタイムにキャッチアップできるとは限りません。自己責任でリサーチケミカルを輸入する決断ができてから発注されることを自分自身を守るために情報収集を充分に行った上でリスクを許容できる場合に、当社へ発注することを心より期待しています。

 

Article Author – Manami

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