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LSZは日本で合法なのか?- その効果や歴史を紐解く

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in this article
  • 日本国内で注目されているリゼルグ酸系幻覚剤「LSZ」とは
  • LSZに関する薬理学的振る舞い
  • LSD及びLSZの歴史
  • 幻覚剤としてのLSD、LSZの作用
  • 具体的なLSZの作用
  • LSZの効き方の時系列での体験の記録
  • ハームリダクションを念頭に置いた使用を心がけること
  • バッドトリップの例
  • バッドトリップから抜け出すコツ
  • LSZの使い方の一例(マイクロドージング)
  • 注意事項
  • 免責事項

日本国内で注目されているリゼルグ酸系幻覚剤「LSZ」とは

LSZと呼ばれるサイケデリクス化合物が日本国内のインターネット上で注目されています。この背景にあるのは、2021年2月1日に1cP-LSDが指定薬物として規制され、それが合法だったうちに相当数のLSD-25(オリジナルのLSD、以下LSD)類似薬物の体験者が生まれ、その効果を合法の物質で後追い体験したいという欲求がユーザーに生まれたからだと思われます。

その化合物の正式名称はLysergic acid 2,4-dimethylazetidideといい、通称Z、あるいはλ(ラムダ)と呼ばれています。結論から言うと、この物質は2021年4月17日現在未規制であり、日本では合法の化合物となります。

この化合物、LSZは強烈な幻覚を伴い、多幸感、ボディハイ、共感覚、活動・行動増をもたらす素晴らしい薬効が期待できますが、1cP-LSDに比べて不安感やパニックを起こしやすい物質でもあります。

ただし、既に「Return of the lysergamides. Part II: Analytical and behavioural characterization of N 6 -allyl-6-norlysergic acid diethylamide (AL-LAD) and (2’S,4’S)-lysergic acid 2,4-dimethylazetidide (LSZ)」(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27265891/)という論文も発表されており、インターネット上で広く取引されていることが観測されているため、厚生労働省の麻薬取締部が買い上げ調査を行っているのは間違いなく、指定薬物として規制されるのは遠い未来ではなさそうです。

 

LSZに関する薬理学的振る舞い

まず、このLSZの薬理学的な背景を説明する必要があるでしょう。LSZはLSDのプロドラッグではなく、構造から異なります。LSDの構造にあったジエチルアミド基がアゼチジン環に置換され、LSDとは異なりながら類似した構造として創薬されたものです。その効力は、ラットを使用した薬物識別テストにおいてLSDよりも強力な力価を持つとされています。では、その幻覚作用とはどういったものなのでしょうか?

規制薬物である1P-LSD、1B-LSD、1cP-LSDは人体に摂取されるとプロドラッグとして働き、体内でLSDに代謝され、幻覚剤としての効果を発動するものでした。この効果はセロトニン受容体である5-HT受容体各サブタイプへのパーシャルアゴニストとして結合して作用し、幻覚作用をもたらすとされています。そしてLSZの(S、S)-(+)異性体は、LSDよりも3つのドーパミン受容体(D5、D2、D4)によく結合します。だからこそ、トリップの間、エネルギッシュな感覚と不安をもたらします。このLSZという化合物は、それぞれ5-HT2a、5-HT2b、5-HT1d、5-HT1aにもよく結合します。5-HT2aに対する親和性はLSDに匹敵するため、トリップ中にビジュアルが非常に鮮明に現れるようです。

 

LSD及びLSZの歴史

LSDは、1938年11月にスイスのバーゼルにあるA・Gサンド社(現・ノバルティス)の研究室でスイス人化学者アルバート・ホフマン博士(Albert Hofmann, 1906年1月11日 – 2008年4月29日)によって合成されました。語「LSD」はドイツ語の「Lysergsäurediethylamid」に由来します。これは、ライ麦や他の穀物で成長する真菌である「麦角」の医学的に有用な誘導体を探す大規模な研究プログラムの一環として合成されました。

ホフマンは「奇妙な予感めいたもの」により、1943年に再びこの物質を取り扱うことにしました。ホフマンが1943年4月16日、研究中に偶然に非結晶性のごく微量のLSD溶液が指先の皮膚から極わずかの量(350mcg)を吸収していまい、研究所でカラフルで多幸感に溢れた幻覚に襲われたことにより、ホフマン自身によりLSDの効果が確認されたことからその幻覚剤としての歴史が始まりました。同年4月19日、LSDを250mcg服用する実験を再度行ったホフマンは、あまりにも強烈な作用を感じ、とても自力で自宅に帰ることができず、助手に自転車で家まで送ってもらうことになりましたが、その道すがら視界のすべてが幻想的に揺れ動いており、自転車が進んでいる感覚すら感じなかったと言います。その後、ホフマンは、食事がそれはそれは美味しく、散歩をすればあらゆるものがキラキラと輝いて見え多幸感に溢れた状態となりました。この日を記念して、4月19日は「自転車の日」と呼ばれています。

その後、ベックリー財団、MAPS、ヘフター研究所、アルバート・ホフマン財団を含む多くの組織が、LSDと関連するサイケデリックの薬効と精神的用途に関する研究に資金を提供し、奨励し、調整することとなりました。2009年には、35年ぶりに人間を対象とした新しいLSDの臨床実験が開始されました。2001年、米国麻薬取締局(DEA)は、LSDは「媚薬効果を生み出さず、創造性を高めず、アルコール依存症や犯罪者の治療に持続的なプラスの効果をもたらさず、「モデル精神病」を引き起こさず、即時の人格変化を引き起こさない」と述べました。最近では、LSDの実験的使用には、アルコール依存症の治療、および痛みと群発頭痛の緩和が含まれています。

LSD自体の歴史はwikipediaなどのサイトで知ることができるので、この記事での紹介は大幅に省きますが、1960年代に、サイケデリックミュージックとサイケデリックロックバンドのミュージシャンは、LSDを音楽に取り入れた経験を再現または反映しようとしました。LSDに言及しているとされる曲には、ジョン・プラインの「違法な笑顔」、ビートルズが残した曲「デイトリッパー」「Lucy In the Sky with Diamonds」(頭文字がLSD、ジョン・レノンはその効果によって作られた曲だということを否定していますが、2004年のインタビューで、ポールマッカートニーは、LSDトリップによって触発されたことを認めています)があります。

LSDは、芸術家や研究者の著名な人物にはサンプルとしてパークデービス社が無償配布したと言われています。つまり、芸術家や研究者やに関わる人物は、LSDが合法(米国で違法となる1968年10月24日以前)だった時に試していたのです。のちのスティーブ・ジョブズは「LSDを服用したことは、私の人生で最も重要なことの一つであり、深い経験でした」と述べています。「LSDはコインの裏には別の面があることを教えてくれます。お金を稼ぐのではなく、偉大なものを創造し、歴史の流れや人間の意識の中にできる限りのものを戻していくことが重要だという私の感覚を強化してくれました」と加えて語っています。彼がMac、iPhoneやそれらのGUIの洗練に役立てたことを助けるように、世界中のセレブリティに研究者たちはこの「魔法の平和の薬(LSD-25)」を配ったのです。

LSD体験は「インスタント禅」とも呼ばれます。宗教的な神秘体験(あり得ない体験)、意識の拡大、悟りに近い経験が薬理作用によってインスタントに得られるというのがその由来です。その悪い使われ方をされた例としては、オウム真理教がLSDを教団施設内で違法に大量に生産し、信者に「キリストのイニシエーション」と称してLSD体験をさせ、教祖・教団への帰依を深めさせたという事例があります。

LSDが発見されてから50年以上の時間が経過したあと、2010年代に入りALD-52、1B-LSD、1P-LSD、1cP-LSDといったLSDの親戚といえるリゼルガミドがリサーチケミカル市場に出回り、日本国内においても多くの体験者を生んだのち、それらの物質は厚生労働省によって健康被害から国民を守るためという名目のもと、規制されました。1P-LSDが規制されたのが2016年4月18日、1cP-LSDが規制されたのが2012年2月1日です。その後に構造式を変化させ、規制を逃れる形で市場にLSDサイケデリクス代用品として登場したのがこのLSZになります。

 

幻覚剤としてのLSD、LSZの作用

LSDは100mcg(マイクログラム、1gの1000分の1)で幻覚発現効果を発揮するという単位重量あたりの効力活性が高い物質で、LSZもその系譜を継いでおり、150mcgを染み込ませたブロッター(吸い取り紙)が一回量として販売されています。まずは初心者の方は1/2枚から始めて、効いてくる30分から1時間の間は自分を観察するようにしましょう。変化がないように感じられても、あるきっかけでその効果に急に気付き、認識している世界が一気に切り替わることもあります。きっかけは身体を動かすことや体感温度が変わること、視覚(映像)・聴覚(音楽)への刺激によるものなど多種多様です。こればかりは体験がものを言う世界なので、自分をよく見つめる手法、すなわち自律訓練法や呼吸法やヴィパッサナー瞑想、マインドフルネスなどを援用しても役立つことでしょう。

幻覚作用といっても効果は人によって異なります。ある人は、開いた目の視覚(OEV: Open Eyes Visuals)、閉じた目の視覚(CEV: Closed Eyes Visuals)、時間の歪み、内省の強化、概念的思考、陶酔感(多幸感)、あるいは高用量では自我喪失を感じます。これは一般的にはよい体験として知覚されることが多いのですが、視覚については、多くの人は閉じた眼の幻覚はまだ耐えられたとしても、開いた眼で見える幻覚には圧倒される経験を伴うものです。普段見ていた世界の奥行きが変わったり、色が変わったり、形が時間を伴って変化したりと、変幻自在な幻覚に耐えられず不安となり、バッドトリップに入るきっかけを作ってしまうこともあります。これはクラシックなLSDでよく報告される幻覚作用で、今回取り上げているLSZは化合物の性質上、セロトニン5HT-2a受容体への結合能が高く、一旦結合するとなかなか外れないという特性を持つと言われ、LSDのプロドラッグである1P-LSDや1cP-LSDなどに比べてバッドトリップしやすいと報告されています。LSZは身体/精神中毒性はないとされ、生理学的に神経毒性があるとは見なされていません。ですが、自我(エゴ)の弱い人(エゴの強い体験者は原状認識により幻覚を打ち消すこともできます)、反応不安やパニック障害を持病として持っている方、陽性・陰性と問わず統合失調症や躁鬱病の家系の血筋を持つ方は、一回の使用で発狂してしまい、向こう側の世界から帰ってこられなくなることもあるようですから、使用を避けるべきです。

 

具体的なLSZの作用


もともと、LSZはLSDのアナログ(類似体:化学式をいじりながら効果を模したもの)として創薬されました。そのため、いわゆる非医療用のデザイナーズドラッグです。そのため当然ながら人間での安全性を確かめる臨床実験はなされたことがありません。

LSZを摂取した場合に人に現れる作用には次のようなものがあります。

 

【物理的な効果として挙げられるもの】

・身体制御の強化(セロトニン5-HT2受容体作動による鎮静作用を主体とするもの)

・吐き気(セロトニン5-HT3受容体作動による嘔吐中枢への刺激)

・瞳孔散大(セロトニン作動薬に一般に観察される作用)

・ボディ・ハイ(触覚の変化、全身が気持ちよく感じることがある)

 

【視覚効果として挙げられるもの】

・彩色度の増加

・パターン認識の強化(対称的なテクスチャの繰り返し、遠近法による歪み)

・機能強化:カラーエンハンス(色彩強度認識の増加)、パターン認識の強化(普段感じないパターンの認識)

・視覚の向上(分析的思考、概念的思考、妄想、時間の歪み、覚醒)

 

【聴覚効果として挙げられるもの】

・音楽鑑賞のエンハンス効果

・歪み、ディストーションノイズ

 

【認知効果として挙げられるもの】

・分析的思考、観念的思考

・創造性の向上、思いつきの強化

・思考の加速、ループ、混乱

・時間の歪み

・覚醒作用

LSD、LSZでは耐性の形成が急速に行われます。LSD Tolerance Calculator(https://lsdtolerancecalculator.github.io/)を活用することによって、おおよその最後に投与してからの日数とその際に投与したドーズ量を入力することによって、得たいドーズ量(効果)の目標を設定することができます。こちらを活用することによって、どのくらいの間隔を空けてどのくらいの量のドーズを行えばよいかがわかります。LSZでも同様にmcg数を入力することによって、おおよその見当を付けることができるため、このサイトは活用できます。

 

LSZの効き方の時系列での体験の記録

LSZを服用した場合の時系列での体験は次のようなものとなります。

 

・T00:00 150mcg、1ブロッターを舌下投与する

・T00:35 音楽が鋭敏に聴こえ始める

・T01:30 五感全体が敏感になってきている、開眼幻覚が起こり始める

・T02:30 瞳孔が開いているからか、眩しいなかでカーテンが色彩を帯びて揺らめき始める

・T03:30 映像、音の幅が広がって見え聴こえ、立体的に見え聞こえる

・T04:30 将来のことについて哲学的な自分の発想に新鮮な驚きを感じる

・T05:30 タイピングが気持ちよくなってきて文章を書くことが止められない、発想が湧き出てくる

・T06:00 頭痛が起き、それとともに内省的になっていき、これは不快なものだった

・T07:30 だんだんと開眼幻覚は落ち着いてきて、元の状態に戻っていくが不快ではない

・T09:00 カムダウンが感じられたので、ベンゾジアゼピンを投与する

・T11:00 認知機能が元に戻ってきており、意識の拡張もなくなってくる

・T12:00 ペントバルビタール50mgを摂取して眠りに就く

 

カムアップ(効き始め)は実際に気づくまで約35-60分、ピークまで3-4時間、合計時間は8-9時間、完全に抜けるまでは最大24時間程かかる可能性がありますが、投与量が多くなると、効果自体が長くなり、少し効果が速く現れる可能性があります。

LSZの体験はあなたの内側にある精神状態と外側にある環境をブーストします。そのため、毎回異なる体験が待ち構えていることを忘れないで下さい。

 

ハームリダクションを念頭に置いた使用を心がけること

幻覚剤ではセット・セッティングが大切です。セットとは心の状態を指します。セッティングとは環境のことを指し、服用する物理的な空間の快適さを表します。この両方が揃ってこそ、いい体験ができると言われていますし、現実にそういう事例がおおよそ多数です(通常量の何倍も摂取した場合の急性中毒状態は除きます)。

幻覚剤の使用による知覚の変化は、初心者にとって驚くべき体験となることが多々あります。そのため、安心できる環境で摂取すること、少ない容量から試すこと、翌日に予定を作らず休暇とすること、トリップシッターを付けることなどを通して完全にリラックスした環境下で使用することを強くお勧めします。仕事や家庭のストレスを感じている人が摂取した場合、不安要素がブーストして認識されてしまい、これもバッドトリップの引き金になることがあります。

バッドトリップとは不合理な恐怖、不安、パニック、妄想、恐怖、不信、絶望、他人を傷つけるという侵入的思考、さらには自殺念慮など、一連の暗い感情を呼び起こす体験です。それを防ぐには気分の安定、周囲の環境、充分な睡眠、トリップ中の水分補給、社会的環境を安定させることが大切です。それにはトリップシッターの存在が役に立ちます。

トリップシッターを付けることは幻覚剤を服用している状態を、シラフの状態の薬物に対する理解のある安心できる友人に見守ってもらう、自分が安心出来るための環境作りの一環です。同じ部屋でトリップの状態を報告しながら、あるいは観察してもらいながら、動けなくなった時には、水分補給をし、緊急時にはシプロヘプタジンなどの抗セロトニン薬やベンゾジアゼピン(興奮に対しては、ロラゼパム(ワイパックス)やエチゾラム(デパス)、フルニトラゼパム(サイレース)などのベンゾジアゼピンで安全に対処できます)、メジャートランキライザーを服用させてもらうことがいつでもできる準備が整っているだけでも大きな精神的な安心度が高まります。その他にも、安心できる環境を手伝ってくれる人物を用意して、トリップシッターを務めてもらえる場合は恵まれた環境だと言えます。なにも同じ部屋でトリップシッターを務めてもらうだけではなくて、電話越しでもトリップシッターの役目は何割かは果たせると言われています。カームダウンしてくれる相手がいること、薬効が強すぎて感じたいざという場合に安定剤・抗精神病薬を手元に常に用意しておくことも大切です。

LSZという幻覚剤は所詮と言っては何ですが、モノアミン受容体(主にセロトニン5-HT受容体各サブタイプ、ドパミンDA受容体各サブタイプ)に半減期のある物質を血液脳関門(BBB)を通して脳に届けることで幻覚を発動させるのですから、どんな経験をしたとしても、「必ず時間が経過すれば元の状態に戻る」と何度も思い込むようにすることでバッドトリップを避けることができます。

また、相互作用として禁忌の薬物もあります。リチウム塩酸塩(商品名:リーマス)には精神病や発作のリスクが大幅に高まることを示唆する事例証拠があります。その他にはマリファナ(Δ9THC及び合成カンナビノイドを含む)は品種によってアッパーに効くかダウナーに効くか、幻覚剤として効くか、その時の体調にも左右されるため、カンナビノイドの不安、妄想、パニック発作、精神病などの心理的有害反応のリスクを大幅に高める可能性があるため、注意が必要です。また精神刺激薬である一群のメタンフェタミン(ヒロポン)、アンフェタミン(本邦医療品未承認)、コカイン、メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)、モダフィニル(モディオダール)、ペモリン(ベタナミン)、エフェドリンとの組み合わせは、不安、妄想、パニック発作、思考ループのリスクを高める可能性があります。最後に気をつけたいのは、日本国内のTwitter上でオーバードーズの事例も散見されるオピオイド系鎮痛薬であるトラマドールです。トラマドールは発作の閾値を下げることが十分に立証されており、痙攣発作を惹起する可能性があります。最後に、モノアミン酸化酵素阻害剤(MAOI、モクロベミド(オーロリクス)、ラサギリン、セレギリン等)は一番危険な相互作用を生み、セロトニン症候群を起こし最悪の場合は死亡する可能性があるため、併用禁忌です。

 

バッドトリップの例

この人は一般的な会社員で、40代の人物でした。ある日Twitterで販売しているアカウントに連絡を取り、LSZ150mcgブロッターを3枚手に入れました。その費用は2万円以上かかりました。その3枚のLSZを丁寧にも0.5枚に切り取り、舌下投与しました。

90分ほどは何も起こりませんでした。しかし90分経つとだんだんと陽気になってきて、家事を片付けるのが楽しくなってきました。どんどんとこなし続けているとやや不安が頭をもたげてきました。というのも、この人はサイケデリクスの初体験であったのです。

まずは気軽な形でアップリフティングな多幸感のようなものを感じたのですが、だんだんだと視覚に変容が出てきて(OCV)、自分の手を見ているとアニメーションのように手の肉が骸骨になっていく様が繰り返しました、これは一般的なサイケデリクスを経験したことのない人にとっては異常な体験のはずで、というのも、現実に見えるものと信じて疑わなかったものが変わっていってしまったのです。これにショックを受け、バッドトリップが3時間ほど続き、不安の中にいました。

途中、友人から電話がかかってきたのですが、まず、電話とは何かというのがわからなかったと言います。携帯電話という概念が頭からすっぽりと抜け落ちてしまっていて、その鳴っている電話をどうすればいいのかわからなくなったのです。何度か掛かってきているうち、電話に出ることができ、会話によってグラウンディングされて安心を取り戻しました。

しかし、電話が切れてからもまだ視覚は変容しており、眼に映るものがみな異様に感じられ、この感覚に耐えられなかったと言います。普段、人間はだいたい同じ風景を見てクオリアを共有しているものなのですが、一人だけ見えるもの知覚しているものが違う世界にダイブしてしまっている状況は相当に苦しいものだったと想像できます。

窓辺のカーテンは呼吸するように動き、極彩色の幾何学模様が見え始め、歪み、どうやっても抜け出せないという気持ちになったといいます。一般にLSZはパラノイアックな状態にハマりやすい性質が他のリゼルガミドより強いと言われており、LSZが視覚にドーンと来たこと、その状態が続いたことは驚嘆、恐怖以外の何者でもなかったと言います。

また身体にも変化があったといいます。吐き気と異常な幸福感です、吐き気は純粋な吐き気で、ドーパミン受容体、セロトニン受容体への刺激によって引き起こされたであろうもので、いまにも吐いてしまいそうなほど酷かったと言います。また一方で、吐き気と同じくらい辛かったと言うのが延々と続く多幸感だったとのことで、多幸感といえばいい印象のように聞こえるかもしれませんが、多幸感が9時間近くも続けば辟易としてしまうものです。吐き気と多幸感の洪水で身体はかなり弱ってしまったと言います。

他にも、過度のあくびが出たり、筋肉の一部が痙攣したり、多汗状態となったりと不快な症状が多く認識されたと言います。

人間は一度不快な状態にハマってしまうと、簡単には(自己コントロールの経験がない場合)元の状態には戻れず、それがLSZによって10時間も続くとなると、それは想像を絶する体験となったと言います。

このバッドトリップの原因は、一つは家族が同じ家の中に居て、いつ話しかけられるかわからないという不安があったことが挙げられます。また、充分な知識を持つ前に摂取したことが挙げられます。これらはすべて知識や環境(セット・セッティング)によって避けられる可能性の高いことでした。また、幻覚剤に対する忍容性が人によって大きく異なることを示唆しています。ハームリダクションに関する知識を前提に摂取することが重要だということがよくわかるエピソードです。

 

バッドトリップから抜け出すコツ

バッドトリップから抜け出すには、自分の普段の環境を取り戻せばいいのです。しかしLSZなどのリゼルガミドは薬効が長く、普段の環境を取り戻すのは難しいと考えがちです。そのため、例えば、身体感覚を取り戻すために、自分の身体の一部をコツコツと叩いてみたりすることで自分の普段の感覚を取り戻すきっかけになることがあります。

その他、ベンゾジアゼピン系の抗不安薬・睡眠薬を使うことでLSZの生み出すエフェクトを落とすことができます。アルプラゾラム(ソラナックス)、ブロマゼパム(レキソタン)、エチゾラム(デパス)といった抗不安薬や、フルニトラゼパム(サイレース)、ニトラゼパム(ベンザリン)、ブロチゾラム(レンドルミン)などが幻覚作用を鎮静させられるため、すべてこれらは処方薬ですが、手元に持っておき、いつでも服用できるようにしておくことをお勧めします。もし服用しなくても、いつでもこれらの薬を服用することで幻覚作用を抑えられるという安心感がパニックやバッドトリップを生み出さないことも安心材料になるでしょう。

LSZの視覚効果は様々で、色合いの変化、視覚の認知の遅延(コマ落ち現象)、奥行き知覚の歪み、遠近法に関する歪み、対象的なテクスチャの繰り返しなどが多く挙げられるもので、これらの多くは眼を空けている状態で起こることに驚いてしまうことが多いので、眼を瞑ってしまい、外界からの情報を遮断することも一つの手段になることがあります、

外界からの情報が脳にブーストされて入りすぎる状態を作り出しているのがLSZの効果だとすれば、眼を瞑り、耳栓をし、身体は回復体位を取り、温度は寒くも熱くもない状態にし、不快感をとにかく取り除くことが重要です。

トリップシッターに通話でもよいので、起こっていることを話し、頷いてもらうこと、肯定してもらうこと、繰り返しになりますが、「この時間は薬効が切れるに従って元に戻るので、延々と同じ状態が続くわけではない」とうことを言ってもらうようにすることが大切です。これによってかなりの安心材料が得られ、グラウンディングされることだろうと思います。

またサイケデリック・バッドトリップ体験は必ずしも不快な体験をネガティブなものとは考えず、適切に解決された場合にはユーザーに大きな利益をもたらすことがあります。バッドトリップはユーザーの経験不足や無知、あるいは実践のための適切な準備や環境の欠如によって悪化することがあり、経験の過程で引き起こされた未解決の心理的緊張を反映するものです。

「サイケデリック体験には、明らかにグノーシスのような性質があり、意識を高め個人的な発達に深く貢献するような学習体験である」とwikipediaには記載されていますが、これは事実だと言わざるを得ないでしょう。「発達」という言葉が何を指すかと言えば、何らかの変化を伴う体験として認識できるということだと思います。

 

LSZの使い方の一例(マイクロドージング)

LSZはどのように使われるべき物質でしょうか。LSZの特性として挙げられるのは、LSDよりも鎮静的であるということ、加えて思考ループにハマりやすいことが挙げられます。身体は動かさず、精神作用に心を傾けて思索に耽ったり、摂取した状態とその経過が良ければ過去のトラウマに向き合うことでPTSDを解決したり、純粋に音楽鑑賞や動画鑑賞の感動のエンハンスを図るなど、意識の拡張に関する使い方は無限大と言えます。作用時間は最大12時間程度の長さがあり、ピークは摂取してから3時間から5時間の間と言われていますし、実際にそう感じられます。カムダウンもゆっくりとしたもので、急激に落ちることはありません。

ただし、1cP-LSDを経験したことがある方が、同じような体験をするかというと必ずしもそうではありません。化合物自体が異なる組成をしていることから、同じように効くかといえばそうではなく、1cP-LSDよりも強く、バッドトリップにハマりやすいという特性があることは忘れないようにしてください。そのため、より環境を整え、セット・セッティングに気を配ることが大切です。

LSDはマイクロドージング(幻覚作動閾値以下の量の摂取、10-20mcg程度)を行うことで、気分、生産性、活力が充分に活性化することが実感できるといい、シリコンバレーのプログラマーに(違法ながら)愛されている使い方のようです。LSZも10-20mcg程度の摂取でマイクロドージングが可能です。作用時間も長い(9時間から12時間)ので、一日のプランを組んだマイクロドージング作用下での暮らしが計画できます。摂取して楽しむ音楽や文学、映画も自分自身を再認識、再構築することができるきっかけになるかもしれません。

具体的には、起床して家族で朝食を摂り、そのあとで大人はガムを噛むようにLSZを舌下に置いてマイクロドージングをしながら生活を営むということです。そこから始まる生活は、普段の日常の色彩を新しく変化させてくれるかもしれません。そのくらいの可能性を秘めたリサーチケミカルだと言えるでしょう。

 

注意事項

あくまでLSZは日本国内法で現在合法な物質ですが、摂取した状態で外出することはお勧めできません。外出先で受ける外的要因からどのように作用がトリガーされるかわからないことが理由です。外出先で混乱し、パニックを起こした場合、自分で救急車を呼ぶことになるか、心配した他人(警察官、救急隊員)に声を掛けられて瞳孔散大が起きている場合、違法薬物の摂取を疑われる場合があります。安心できる環境で、トリップシッターに同伴してもらい、体験することを強くお勧めします。

あなたのLSZを用いた個人研究が安全で、その後の人生を豊かにする経験で満たされることを祈っています。

 

免責事項

厳密には、薬機法第76条の6第1項(指定薬物等である疑いがある物品の検査及び製造等の制限)に規定される「指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物である疑いがある物品」については、LSZにその疑いがあるだけで検査命令が執行される可能性があります。税関において開披検査が行われた際には、その旨輸入者本人に通知が届き、任意放棄せざるを得なくなりますので注意が必要です。加えて同法第76条の6第2項には「同項の検査を受けるべきことを命ぜられた者に対し、同項の検査を受け、第四項前段、第六項(第一号に係る部分に限る。)又は第7項の規定による通知を受けるまでの間は、当該物品及びこれと同一の物品を製造し、輸入し、販売し、授与し、販売若しくは授与の目的で陳列し、又は広告してはならない旨を併せて命ずることができる」と規定されていますので、通知が届いてから同じ物質を輸入しようとすると違反行為となりますのでご留意下さい。

輸入手続きに関しては、過去にご紹介した「日本でのリサーチケミカル(研究用化学物質)の研究、輸入、法律の理解、現在の法律、リスクと自分の身を守る方法」を注意しながらご参照下さい。

この記事はLSZを輸入することを奨励していません。またこの記事を参考にリサーチケミカルを輸入した場合に、税関、麻薬取締部、警察からの連絡が来た場合、被疑者として逮捕状が取られ、事情聴取、家宅捜索、勾留あるいは起訴された場合の責任は取ることができません。常にリサーチケミカルの輸入を検討する際には、厚生労働省による最新の報道発表、パブリックコメント、日本国内の違法薬物に対する取締の動向を確認し、合法であるという確信を持った上で輸入することをお勧めします。合法な物質の輸入でもそれが精神活性物質であって、繰り返し輸入していて税関、麻薬取締部に常習性があると判断された場合には、輸入者はマークされるということを忘れないでください。また、違法として指定されていない薬物でも薬機法における「指定薬物又は指定薬物と同等以上に精神毒性を有する蓋然性が高い物である疑いがある物品」が通関の際に貨物より発見された場合には、相応のリスクが伴うことを充分に理解した上で輸入手続きを取り、通関に関する状況を常に監視し続けることを忘れないようにして下さい。

私達chemical-collectiveでは、他の海外ベンダーと違い、日本において違法とされている薬物に対する注文を受けた場合、日本に出荷することを行わない方針を固めることとしました。これは日本のリサーチケミカルのユーザーをハームリダクションの観点から規制当局から任意事情聴、違法薬物の輸入に対する逮捕等から守るための最善の方法だと確信しています。ですが、日本国内の規制薬物リストは日々更新され、当社が違法薬物の情報をリアルタイムにキャッチアップできるとは限りません。自己責任でリサーチケミカルを輸入する決断ができてから発注されることを自分自身を守るために情報収集を充分に行った上でリスクを許容できる場合に、当社へ発注することを心より期待しています。

 

Article Author – Manami

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naoya matsu
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